統計学とは何か
まず、統計学とはそもそも何なのでしょうか。
皆さんは生活していく中で、たくさんの数値と出会っていると思います。
その数値は無数に存在します。
その数値を眺めてみても、ただの数字でしかなく意味を持ちません。
意味を持たなければ、当然活用することもできません。
これらの数値に意味を持たせるために、データの数を整えて集計し、平均や分散を出してあげる必要があります。
これによって、データの性質、傾向や意味を知ることができ、初めて活用することができるます。
つまり、統計学とはある程度以上の数のばらつきがあるデータの性質を調べ、大きなデータの集団から一部を抽出し、その抽出したデータの性質を調べることで、元の大きなデータの性質を推測するなどの方法論を体系化した学問です。
統計学は大きく分けると記述統計と推測統計の2つに分類することができます。
記述統計とは何か
記述統計とは、収集したデータの平均や分散、標準偏差などを計算して分布を明らかし、データの示す傾向や性質を把握する手法のことです。
例えば、学校のテストの点数や偏差値などは記述統計の代表的な例と言えます。
推測統計とは何か
推測統計とは、採取したデータから母集団の性質を確率統計的に推測するものです。
代表的なものとしては、選挙の出口調査における速報やテレビの視聴率などが挙げられます。
統計学をなぜ学ぶべきなのか
理系出身の社会人は基礎科目として統計学を学んでいると思います。
ただ、統計学がわかる文系出身の社会人は多くありません。
統計学には数式が多く出てくるため、文系出身の社会人にはわかりにくいと感じるためかもしれません。
しかし、実は統計学こそビジネスに精通した文系出身の社会人が習得するととても良い学問なのです。
今、ビジネスの現場で統計的手法が注目を集めています。
文系理系に関わらず、なぜ統計学を学んだ方が良いのでしょうか。
統計学の大部分は、数学の「確率」や「微分・積分」、「線形代数」の考え方を用いた応用数学の領域です。
このような背景から、統計学は理系出身者には馴染みが深いです。
統計計学は応用数学で形成されていることからも、統計学の知見は世界中どこの国でも通用します。
世界中のどの国でも「1足す1は?」と尋ねれば、「2」という答えが返ってきます。
統計学は言語と同じように誰でも理解することができます。
言語には3つの要素が必要だといわれています。
それは、「文字」「文法」「構文」の3要素です。
統計学にも同じように「数字や記号」「公理や定理」「数式」があります。
文系出身の人の中には数式が出てくる統計学に苦手意識を示す人がいます。
統計学の3つの要素を段階的に学ぶことは、言語を学ぶこととあまり変わりません。
言語が誰でも使えるようになるのと同じように、統計学も誰でも理解することがでできます。
統計的知見が乏しい社会人は、意思決定をする際にどうしても「過去の成功体験」や「勘」に頼ってしまいます。
変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が高い現代では、「過去の成功体験」や「勘」に基づいた意思決定だけでは不確実性が高く、データに基づいた意思決定を行う競合に勝てないことも事実です。
社会人ともなれば、職場の上司やお客さん、株主など多くの人を納得させることが必要です。
相手を説得するにはプレゼンテーションスキルやロジカルシンキングも大切ですが、プレゼンテーションスキルやロジカルシンキングは、統計的知見に比べ主観が入りやすいといえます。
一方、統計的知見にはほとんど主観はありません。
データを分析した条件やプロセス、手法などについて妥当性が高いことを説明できれば、可視化された分析結果についてはほとんど反論できません。
多くの企業がデータ分析部門を立ち上げて、データサイエンティストを確保しようとします。
その場合、統計学に精通した人財を採用しようとする傾向があります。
しかし実際、「統計学」や「データ解析するためのプログラミングスキル」を持ったエンジニアを採用しても、経営やビジネスについての知見がないため、データ分析のPDCAサイクルが回りません。
なので、経営やビジネスに精通している人に統計学を学んでもらった方が良いのです。
経営やビジネスを学んでいる文系の人にも統計学を学んでほしい理由はこんなところからきています。
最後に
統計学が有名になったきっかけを作った一冊を紹介しておきます。
35万部を突破し、知的教養書としては異例のベストセラーとなった『統計学が最強の学問である』は、「ビジネス書大賞2014」にて「大賞」を受賞しています。
→統計学が最強の学問である
ちなみにこの「統計学が最強の学問である」には、数学編や実践編、ビジネス編があります。
興味があったらこれらも見てみてください。
→数学編
→実践編
→ビジネス編
統計学は、文系理系に関わらず、皆が学ぶ時代になっています。
これを機に学生だけでなく、社会人の方にも統計学を学んでいただければ幸いです。